フロー体験
フロー状態という用語をビジネスの場で
聞くことはあるものの、先進的な企業でしか聞かない。
アメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイ氏の
提唱する心理状態の事。
チクセントミハイ氏は
「人生を生きるに値するものにするものは何でしょう」
お金では幸せになれないと気付いた彼は、「フロー」の
状態をもたらす活動の中から喜びと永続的な満足を
見出している人たちを研究しました。
本来は心理学の学術用語のはずが、なんでビジネス場で
聞くのかと言うと、その状態になると驚異的な能力を
発揮するようになるからだった。
効能・ご利益
『ZONE シリコンバレー流 科学的に自分を変える方法』によると
- 創造力が爆発的に高まる。
- DARPA(国防高等研究計画局)とアドバンスト・ブレイン・モニタリング社の調査 ある種の神経フィードバック装置を用いた場合、兵士たちが最高490%も
早く問題を解決し、技術も習得する。 - マッキンゼーの調査では、トップエクゼクティブたちがフロー状態になると
最高500%の生産性が上がる。 - 得られるもの
- 創造力 200%
- 学習能力 490%
- 生産性 500%
(『ZONE シリコンバレー流 科学的に自分を変える方法』より)
冗談かと思うほど驚異的だ。
フロー体験・状態
フロー体験はゾーン、ピークエクスペリエンス、無我の境地、忘我状態と
も呼ばれているが、チクセントミハイ氏によれば、ポイントとして
- 時間の経過とともに常に自分が何をしたいのかがわかっている
- 直ちにフィードバックが得られること
- 何をする必要があるか分かっている
- それが難しくても可能なこと
- 時間の感覚が消失すること
- 自分自身の事を忘れてしまうこと
- 自分はもっと大きな何かの一部であると感じること
若干異なるが、『運命の法則』天外伺朗によると
- 行為に集中、没頭している
- 浮き浮きした高揚感
- 雑念がほとんどわかない
- 時間間隔の喪失
- 自分自身の感覚の喪失している
- その場を支配している感覚。自分が有能である感覚
- 周囲環境との調和、一体感
世間では
概念は、あらゆる分野に渡って広く論及されています。
また、世界的に名だたるIT企業が採用していたりします。
国内でもしているところはあるかな。
ただ、人々は合理的に「外発的報酬」を追い求める前提として
社会設計され、それにむけて各人訓練をされているので、
「内発的報酬」を感じにくくなっている。
「人間は外発的報酬による妨害がなくなったとき、
はじめて内発的報酬により容易に反応できる」 チクセントミハイ
外発的報酬とは、賞罰やお金など、外部的要因に基づくもので、
内発的報酬とは、人の内側から湧き上がる楽しさや嬉しさのこです。
運用面の問題
人間意識の従来慣行がそれを邪魔するのではないかと危惧します。
鉄砲が渡来してきても槍や刀、騎兵を主力としたものから、織田信長の
運用によって最強兵器になったように、組織全体のカルチャなどの変更も
関わってくるのかなと思っています。
13世紀ヨーロッパに攻めてきたモンゴルにポーランド騎兵は立ち向かいました。
20世紀にも同じように騎兵でドイツ戦車部隊に立ち向かったといいますから、
人の変化を嫌う傾向はちょっと恐ろしいものを感じます。
この稿の結論
現在のまずい部分は内的報酬を無視、無いものとしているところで、フロー体験や、
内的な報酬、動機でが重視されるようになれば、チクセントミハイ氏が言う
ところの「人生は生きるに値する」ものになっていくんじゃないかと楽観視して
います。
参考
TED チクセントミハイ氏講演: フローについて